木質バイオマスの生分解機構
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地球温暖化を防ぎ、脱化石資源を目指す取り組みが産業や社会の在り方を大きく変えようとしています。そうした中で、植物バイオマスをバイオ燃料としてだけでなく、様々な化成品としてより高度で効率的に利用する為の技術開発はこれからの重要課題です。植物バイオマスの大部分を占める木材は、「天然の防腐剤」とも呼ばれる難分解性の高分子リグニンによって微生物による分解から守られています。私たちは生態系の中で唯一高分子リグニンを分解できる白色腐朽菌と呼ばれるきのこの仲間について、遺伝子工学的、蛋白質工学的、ゲノム工学的な方法で木質バイオマス分解機構の謎を解き明かすための研究を行っています。
近年のゲノム解析の普及により、代表的な白色腐朽菌ではポストゲノム解析を用いた研究が花盛りです。当研究室では、それらに加えて、多重遺伝子破壊系の開発や効率的な順遺伝学、CRISPR/Cas9の導入などにより、ポストゲノム解析だけでは超えることのできない壁を越えて、リグノセルロースの生分解の全貌を解明することをめざしています。
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きのこのサイエンスとテクノロジー
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木材をはじめとする有機物の分解・資化だけではなく、樹木との共生など地球共生系の炭素循環において重要な働きをしているきのこですが、その基本的な生物学的性質は十分には解明されていません。パン酵母や麹菌などの子嚢菌類と異なり、多くのきのこが属する担子菌類の基本的な遺伝子発現、タンパク質の翻訳・修飾と分泌など、基礎生物学的にも興味深い様々な課題について研究を行っています。また、毛髪メラニンの分解や、医療用糖タンパク質の発現への挑戦など、担子菌類の様々な特徴を活かした新しいバイオテクノロジーの開発に向けて研究しています。
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タケ類の資源植物化
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一般的にタケ類の開花周期は数十年から百年以上とも言われています。では、なぜこのような開花様式をとるのか?開花を制御している因子はなにか?近年、多くの植物では開花を司る遺伝子が明らかになってきました。では、タケ類の開花制御メカニズムはどのようになっているのか?
本研究は生化学、分子生物学的手法によってタケ類の開花メカニズムを解明するとともに、開花制御を可能としタケ類を資源植物として有効利用できるような遺伝的改質をめざしています。
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植物資源の形成と機能強化
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植物は光合成活動によって、地球温暖化の一因であると言われている二酸化炭素を吸収し、炭酸同化産物として固定します。固定された炭酸同化産物はさらにデンプンやセルロース、リグニンなどの高分子化合物として蓄積され、植物資源として利用されています。植物資源の生産性向上と循環的利用をはかるためには、こられの構成成分の形成過程を明らかにする必要があります。
本研究では、とくにソース・シンクの観点から樹木や単子葉植物における炭酸同化産物の生成機構に着目し、生化学的、分子生物学的手法を用いて研究を進めています。また、フラボノイドなど二次代謝物質の生産制御と生理的機能の解明についても研究を行っています。
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